今回は「美容院における次回予約の取り組み方」について書いていきます。
以前「次回予約の重要性」という下記の記事をアップしました。
今日は次回予約の必要性についてお話しします。 次回予約とはご来店頂いたお客様が、ご退店時に次の予約を取って帰られる仕組みのことです。 歯医者さんなどは当たり前にやっていますね。 ちなみに当社の次回予約率は70%から80%です。[…]
ここで重要性を書いています。
もしまだこちらの記事を見ていない方は、最初にこちら見てからこの記事を見られることをおすすめいたします。
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次回予約に取り組むための3つのポイント
この記事で説明するやり方は、当社で70%から80%の次回予約率を出しているやり方です。
私個人で言うと95%以上の次回予約を取っていた時期もあるので、効果が高いやり方だと思ってもらって大丈夫です。
ちなみに次回予約に取り組む前は「次回予約率0%」でした・・・。
次回予約のポイントは3つあります。
・カウンセリング
・ホットボタン
・クロージング
この3つです。
次回予約につなげるカウンセリング
まず前半として「次回予約につなげるカウンセリング」について説明していきたいと思います。
ポイントは
≪カウンセリングで聞き出した、お客様の希望、悩み、痛みの中≫
にあります。
例えば、
「いつも襟足の毛が肩についてすぐはねる。だけど短くしたくない。
今までどこに行っても短くされるか、長くしてはねるかのどっちかだった」
というお悩みをカウンセリングした結果、皆様ならどうしますか?
色んな答えがあると思いますが、
「顔周りが長ければ襟足は短くてもよい」という、今まで他の美容師に提案されたことのない答えにたどり着いたとします。
ここでお客様の心の中では
「私の要望を丁寧に聞いてくれた!!この美容師さん、頼もしいし今までの悩みが解決できそう!!」
おそらくこんな感じで期待していらっしゃるはずです。
信頼も勝ち取れているのではないでしょうか。
まずこれが大事です。
何よりもお客様にカウンセリングから信頼してもらうことが大事です。
そこで、この質問をしてください。
「いつもどのくらいの期間ではねてきますか?」
ではなぜこの質問なのでしょうか?
わかりやすいようにロープレ場面をテキストに起こしました。
カウンセリング途中からのロープレです。
美「いつもどのくらいの期間ではねてくるのですか?」
客「1ヶ月です」
美「今日は2ヶ月持つように切るので、楽しみにしていてください。」
客「はい!」
美「ただ、2ヶ月たつとはねてきます。なぜかというと、この襟足の毛が肩につく長さになり
肩が邪魔してまとまりづらくなるんです。ですのでこのスタイルの賞味期限は2か月です」客「なるほど」
美「私は美容師としていつも綺麗で頂く事が重要だと思っています。次回のご来店は2ヶ月後 が良いと思うのですが、いかがですか?」
客「はい」
美「実は、ご希望日時の予約がとりにくい状態になっておりまして、8割以上のお客様がお帰りの際に次のご予約を取って帰られています。2ヶ月後どこか押さえておかれることをお勧めします。お会計の際におっしゃってくださいね」
客「わかりました」
もちろん、カウンセリングで聞き出したお客様の希望、悩み、痛みによって質問は変わります。
それに合わせた質問を考えてください。
カウンセリングでよくあるお客様の希望、悩み、痛みをあげると
髪の量が増える、カラーの退色が早い、はねる、トップにボリュームが無くなる、
艶がなくなる、クセが出る、最初は自分でスタイリングできるがだんだんできなくなる
白髪がめだつ、シルエットが崩れる…etc
等があります。
ここで大事なのは、ほとんどの場合「カット後の経過日数が問題になってきている」ということです。
技術力で解決したことは、ある一定の時間が過ぎると、またあらわれます。
私は美容師として、その日数をお伝えし、常にきれいな状態でいて頂く事が大事だと思っています。
それが「次回予約の日にち設定」ということです。
次回予約が定着しない理由
カウンセリングで聞き出した事柄において重要なのは
【解決した状態に保つ】という事です。
お客様の美をプロとして保障する。 それを具体的な形にするには、「次回予約」しかありません。
では、ここでよくある反対意見をあげてみたいと思います。
「次回予約に取り組んだことがあるけどうまくいかなかった」とか「うまく浸透させられるか自信がない」
という意見ですね。
この場合どこが問題なのでしょうか。
多くのサロンで次回予約が定着しない理由はいくつかあります。
その多くは
「お客様自身が髪に対する優先順位を低く設定している」
という事実です。
例えば病院で受けた検査結果は、お医者様と決めた日に必ず聞きに行きますよね。
しかし美容院では、そこまでの理由を示せていないのが現状ですし、お医者様より権威性も低いという事実もあります。
だからこそカウンセリングが重要になってきます。
カウンセリングでお客様の中の「美の優先順位」を上げ、権威ある立場から次回予約を促すことが大事です。
先程のロープレのように、カウンセリングの段階から自分の希望が叶うと思えたり、悩みや痛みが解決することで
「この人に任せておけば簡単に素敵になれるかも」
という意識が働きます。
そうすることで権威性が増し、次回予約の提案も受け入れて下さるというわけですね。
すると、高い確率で次回予約をしてくださるという結果に結びつき、この取り組みがうまくいく要因となります。
ここまでのまとめ
いかがだったでしょうか。
まずは次回予約の取り方の前半部分「次回予約につなげるカウンセリング」についてお話してきました。
次回予約というアクションは、サロンワークの最後のパートですが
「実はド頭のカウンセリングからすでに始まっている」ということがお分かりいただけたら嬉しいです。
ここまでをまとめると、重要なポイントは4つです。
・希望、悩み、痛み を聞き出す
・解決の根拠を示す
・期限を提示する
・それに合わせた次回予約日をお知らせする
カウンセリング時に、この4つを必ず行うことで次回予約率を上げる準備は万端です。
次回予約の取り方(後半)
続いて、次回予約の取り方の後半について書いていきたいと思います。
次回予約のポイントは3つありましたね。
・カウンセリング
・ホットボタン
・クロージング
です。
前半では「次回予約につなげるカウンセリング」についてお話してきました。
後半では「ホットボタン&クロージング」についてお話していきたいと思います。
次回予約はこれがわかると、かなり取りやすくなりますので、楽しみにしていてください。
ホットボタン
それではホットボタンからお話します。
前半はカウンセリングまでを説明したので、カウンセリングが終了し、
施術に入るところからを想像してください。
想像する場面は、皆さんがお客様に最高の技術を提供しているところです。
その時に1つだけ加えてほしい事があるのです。それは・・・
【ホットボタンを押す】という事です。
ホットボタンとはマーケティング用語で「潜在的ニーズ」とか「潜在的願望」という意味です。
ここで質問です。前半のカウンセリングでのホットボタンは何だったでしょうか?
「襟足が、はねない状態を保つこと」という事でしたね。
これをふまえて、今から言うことが1番大事なポイントになります。
それはこのホットボタンを、施術中に【3回以上】押してほしいということです。
1回でも2回でも効果は薄まります。3回が最適です。
ではどのように押すのでしょうか?
やり方は「襟足が、はねない状態を保つこと」という話題を、施術中の会話に組み込むだけです。
たったこれだけです。簡単じゃないですか?
例を出します。
1回目
襟足のセクションをカットする際
「(鏡を見せながら)ここがはねる箇所なので、このような長さに切ります。そうすると2ヶ 月持ちますよ!」2回目
ドライ中もしくはドライカット前
「もうすでにはねてないですね!ほらどうですか?これが保てれば毎日素敵ですね!!」3回目
スタイリング中
「はねない長さだから、2ヶ月間はスタイリングが楽ですよ!」
この様にサロンワークの各セクションで、ホットボタンを押していきます。
では、なぜ3回もホットボタンを押さなければいけないのでしょうか。
そもそもお客様は、気持ちや感情で商品を選びます。
感情は冷めやすいので、カウンセリングでせっかく温まっても、施術終わりの2時間後には、気持ちがどこかに行ってしまうかもしれません。
大事なのはお客様のホットボタンを押し続け、温まった感情を冷めさせない事です。
カウンセリング時の感情を常に思い出し てもらう事が大事です。
くれぐれも3回は押してくださいね。
クロージング
では最後のクロージングの説明に入ります。
いよいよ最終段階です。
お会計が終わり、次回の予約を取っていただくタイミングです。
ここで大事なのは
【サロンスタッフ全員が、共通したトークを出来ること】です。
一人経営の方は、ご自分が出来れば問題ありません。
クロージングは、担当者が入れるようであれば担当者が入るのがベストです。
その時のトークで大事なのは
「次回のご予約はどうしますか?」 とだけ言わないことです。
そう言われてもななかな予約率は上がりません。
ではどうするのが良いのでしょうか。
それは、もう一度次回予約を取るメリットを説明してください。
さっきのお客様のクロージングの場面で、別のスタッフが入る場合を例に挙げます。
「スタイリストのOOが、襟足のカットの関係上、2か月がベストと申しておりました。
現在予約が取りにくくなっておりまして、80%以上の方が次回のご予約をされているのですが、お取りしてもよろしいですか?」
という風に、ホットボタンを押した意味が伝わるトークにすることで、予約率は一気に高まります。
また、次回予約を始めたばかりの場合に使える例も出しておきます。
「今月からお客様の美を保つために次回予約サービスを始めました。
スタイリストのOOが、襟足のカットの関係上、2か月がベストと申しておりました。
今まで土日で予約が取れないということが起きていたので、今回からお取りしてもよろしいですか?」
これもいいですね。
さらに、お客様にも慣れていただくために2、3か月の期間を決めて
「次回予約をすると500円オフ」などのキャンペーンをするのも効果的です。
これはお客様にもわかりやすいメリットなので、次回予約の良さを知っていただくためにも、ハードルを下げる面で効果的です。
ただ先程も申し上げたように、大事なのは「スタッフ皆が同じように話せること」です。
話す人によって話すことが違えば予約率は下がりますし、効果測定もできません。
まずは文章を考えてみんなで共有しましょう。
ここまで出来れば、あとは自動的に次回予約が出来るはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
次回予約をスタートさせると、お客様から色々な反応を頂きます。
「美容院の日が決まっていると楽ね」 「いつも綺麗でいられて嬉しい」「いつ行っていいかわからなかったから、来店時期が明確で助かる」
やってみると嬉しい反応の方が多くなります。
しかし、次回予約をやっていない美容師さんにお話を聞くと、罪悪感を持っている方が多いように感じます。
わからなくもないですが、実際にやってみると良い反応の方が多いのが事実です。
もう一つ、副産物があります。
それは 「サロン主導のビジネスになる」 ということです。
美容師とはビジネスです。ボランティアではありません。
未来の売り上げの計算ができないビジネスが成り立つでしょうか?
お客様を待っているだけの、お客様主導のビジネスが生き残れるでしょうか?
世の中で成果を上げているビジネスのほとんどは、主導権が提供側にあります。
美容院もそうならなければならないと、私は思っています。
しかもサロン主導になると、良いスパイラルが生まれます。
前の次回予約の必要性の記事でも述べましたが、従業員にも会社にも良いことが起こります。
例えば
・休憩時間がとりやすい
・勤務時間が圧縮できる
・パートタイムでも売り上げられる
・空いている時間を有効に使える(他の仕事の予定を入れられる)
・休みが明確
・休みを適正に増やせる(土日休みも可能)
・顧客への準備がしやすく、満足度が上がる
・来店サイクル短縮
まだまだありますが、具体的には前にアップした次回予約の必要性の記事に書いてあるので見てください。
皆様にとって、次回予約が素晴らしい結果をもたらすことを祈っています。